オリジナル小説, つばさ

【2018年03月28日更新】

以前書いた長編小説を再編集して、公開することにした。

第一部

『つばさ』

いつでもどこでも読めるようにPDF版(電子書籍版)を公開。

* リンク

つばさ 第二部

はじめに

以前から考えていた『つばさ』の続編を書いてみた。

今回は、以前とは少し違った雰囲気になっている。

もしよければ、読んでみてほしい。

P.S.

正直、今後どれだけ時間をとれるかわか ...

つばさ 第二部

 空に重く立ちこめた厚い雲の下、剣戟の音が響き渡り、悲鳴や怒号が戦いに参加していない者のこころまですくませる。
「アーデ様、気をつけてください」
「言われなくても――」
「言われなくても、前に出てますよ」
「 ...

つばさ 第二部

「遅かったじゃないか、ダミアン」
 扉を開けるとすぐに声をかけてきた。夜だというのに広間には熱気が立ちこめ、それが衰えそうな気配はまるでない。
 部屋の中には七人、いずれもが貴族もかくやというほど豪奢な衣服に身を包み、きらび ...

つばさ 第二部

 雲行きが怪しくなっていた。
 空の低いところに厚く雲がたれ込め、太陽の光を深く遮った。
 風は湿り気を帯び、鳥たちの姿は上空から消えた。
「これは一雨来るな」
 翼人のこういった時の感覚が外れることはない。 ...

つばさ 第二部

 晩春の朝霧は深く、陽光の遮られた森の奥まではとても見通せない。しかし、野生の生命の目覚めは早く、活力に満ちた嘶(いなな)きを未だ暗闇に包まれた森陰に響かせる。
 そんな儚くも力強い息吹を感じさせる空気の中に、ややもすると不可思議な ...

つばさ 第二部

「憂鬱なことだ」
 つぶやいてから、しまった、と思う。たとえ事実そうなのだとしても、口に出しては余計につらくなるではないか。
 フェリクスは簡単に身支度を整えながら、父から譲り受けた剣を手に取った。
「文句を言ってば ...

つばさ 第二部

 開け放たれた窓から、新緑の香りをのせた晩春の風がゆるやかに吹き込んでくる。晴れた日には肌が暑さを感じ、耳は野の生き物たちの息吹をとらえていた。
 あれからどれくらいの日数が経ったのだろう。日の高さ、月の形からして、少なくとも一週間 ...

つばさ 第二部

 雨は上がりはじめていた。西の空からわずかに光が射し込み、露に濡れた木々をほのかに照らし出している。
 ヴァイクは、こういった情景が嫌いではなかった。
 雨上がりの空。
 夜明け前の雲。
 そういった何かが開 ...

つばさ 第二部

 今日も今日とて、ノイシュタットは平和だった。もこもことした雲がぽつりぽつりと浮かぶ青空に、のんきな鳥が数羽舞っている。風もほとんどなく、呆れるほどに穏やかな日常だった。
 こんな日は、どうしても見張り役が退屈でしょうがなくなる。こ ...