Monthly Archives for 9月 2015

[つばさ 第二部] 第三章 人として在ること

 開け放たれた窓から、新緑の香りをのせた晩春の風がゆるやかに吹き込んでくる。晴れた日には肌が暑さを感じ、耳は野の生き物たちの息吹をとらえていた。  あれからどれくらいの日数が経ったのだろう。日の高さ、月の形からして、少な … Continue reading

2015 年 9 月 18 日 by
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[つばさ 第二部] 第二章 第六節

 雨は上がりはじめていた。西の空からわずかに光が射し込み、露に濡れた木々をほのかに照らし出している。  ヴァイクは、こういった情景が嫌いではなかった。  雨上がりの空。  夜明け前の雲。  そういった何かが開けていく印象 … Continue reading

2015 年 9 月 12 日 by
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[つばさ 第二部] 第二章 第五節

 今日も今日とて、ノイシュタットは平和だった。もこもことした雲がぽつりぽつりと浮かぶ青空に、のんきな鳥が数羽舞っている。風もほとんどなく、呆れるほどに穏やかな日常だった。  こんな日は、どうしても見張り役が退屈でしょうが … Continue reading

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[つばさ 第二部] 第二章 第四節

 雨とは厄介なものだ。  道がぬかるみ、川が増水することで移動が困難になり、やたらと時間がかかってしまう。そうしている間に大事な商機を逃し、あとで大きな後悔を抱え込むことになる。  とはいえ、命あっての物種だ。無理をして … Continue reading

2015 年 9 月 9 日 by
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[つばさ 第二部] 第二章 第三節

 雲行きが怪しくなっていた。  空の低いところに厚く雲がたれ込め、太陽の光を深く遮った。  風は湿り気を帯び、鳥たちの姿は上空から消えた。 「これは一雨来るな」  翼人のこういった時の感覚が外れることはない。雲が出ても雨 … Continue reading

2015 年 9 月 7 日 by
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