Category Archives for つばさ 第二部

[つばさ 第二部] 第三章 第三節

 晩春の朝霧は深く、陽光の遮られた森の奥まではとても見通せない。しかし、野生の生命の目覚めは早く、活力に満ちた嘶(いなな)きを未だ暗闇に包まれた森陰に響かせる。  そんな儚くも力強い息吹を感じさせる空気の中に、ややもする … Continue reading

2015 年 11 月 13 日 by
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[つばさ 第二部] 第三章 第二節

「憂鬱なことだ」  つぶやいてから、しまった、と思う。たとえ事実そうなのだとしても、口に出しては余計につらくなるではないか。  フェリクスは簡単に身支度を整えながら、父から譲り受けた剣を手に取った。 「文句を言ってばかり … Continue reading

2015 年 11 月 3 日 by
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[つばさ 第二部] 第三章 人として在ること

 開け放たれた窓から、新緑の香りをのせた晩春の風がゆるやかに吹き込んでくる。晴れた日には肌が暑さを感じ、耳は野の生き物たちの息吹をとらえていた。  あれからどれくらいの日数が経ったのだろう。日の高さ、月の形からして、少な … Continue reading

2015 年 9 月 18 日 by
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[つばさ 第二部] 第二章 第六節

 雨は上がりはじめていた。西の空からわずかに光が射し込み、露に濡れた木々をほのかに照らし出している。  ヴァイクは、こういった情景が嫌いではなかった。  雨上がりの空。  夜明け前の雲。  そういった何かが開けていく印象 … Continue reading

2015 年 9 月 12 日 by
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[つばさ 第二部] 第二章 第五節

 今日も今日とて、ノイシュタットは平和だった。もこもことした雲がぽつりぽつりと浮かぶ青空に、のんきな鳥が数羽舞っている。風もほとんどなく、呆れるほどに穏やかな日常だった。  こんな日は、どうしても見張り役が退屈でしょうが … Continue reading

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